いつまでたってもスピードを出さない俺たちを見かねてか、逸生とアキはこちらに逆戻りしてきた。
「マサヒロも駆人も遅すぎ〜。アイス溶けちゃうよ?」
 そう言って逸生も、いつの間にか買っていたらしいアイスの実をほおばっていた。
「はい、みんなにもオスソワケ。和幸田さんも一つどう?」
 逸生のありがたい申し出に、俺は迷わずぶどう味をゲットしたのだが、アキはしばし悩んだ後、おむろにチョコ味を口に入れた。
 なかなか溶けないシャーベットに苦戦しているようで、口をもごもごとさせている。
 そんな様子を何気なく眺めていたら、逸生と駆人も、俺のことをじーっと眺めていた。
「…なんだよ?」
不審を込めて問う。
 それを聞いて、逸生と駆人は、
「だって……ねぇ?駆人」
「マサヒロ……見つめ過ぎだったし?」
二人して顔を見合わせながら、に〜やにやと笑っている。
 俺はその会話がよくわからずに、
「見つめ過ぎって…何をだよ」
と、ちょっと憮然としながら尋ねた。
 軽くあっけにとられた二人だったが、また御互いを見て、
「自覚症状ナシ。…重症だね」
「マサヒロにもやっと春がきたんだな☆」
と、またわけのわからないことを言っている。
「だから何なんだよ…っわ!おい!」
「さっきのお返し〜☆」
 いきなり駆人が俺の飲みかけのペットボトルを奪って、学校への道を逃げ出した。
「こらっ!こぼれる!止まれ駆人!!」
俺も慌てて後を追った。
「クスクス…やっぱりマサヒロはいぢめ甲斐があるねぇvv」
 逸生も謎発言をしながら、アキに、行こうよ、とうながした。
 アキはまだアイスの実を口に頬張りながら、コクリとうなづいて、てこてこと歩き出した。


 …俺たちは、ただの『高校生』だった。
 それ以上でも以下でもない、普通の高校生だった。少なくともそう思っていた。

 強い日光に全てが輝いて、まぶしくて。

 何も怖いものなんてなかった。

 このまま全てが、変わらぬまま流れてゆくと思っていた。

 この日常も、この友情も。



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