さて、俺たち4人は無事学校までたどり着いた。
顔を上げれば、熱いアスファルトから昇る歪んだ空気のせいで、ボロ校舎が暑さで溶けているかのように見える。
俺はアキに、自主練のまえに学校を軽く案内してくれと頼まれ、快諾した。
こんな暑い日は、部活に対するやる気も、冬場に比べて萎えやすい。
しかもうちのバスケ部は、不本意ながら「地域最弱」という悪名高いのだ。
それというのも、部活の顧問が「文武両道」をモットーにしているからで、どうしても他校よりも練習に割ける時間が少なくなってしまう。だから、そんな不名誉なレッテルを貼られてしまったというわけ。
まぁ、そんな部活の中ですら補欠な俺なんだけれども…。いいんだっ、参加することに意義があるんだっ!!
てなわけで、全国大会予選もしょっぱなで敗退。あと残っているのは、近隣校との練習試合くらいだ。ちょっとくらいサボっても問題ないだろ。
逸生が、下駄箱で靴を履き替える。俺たちは面倒がって土足のままだ。アキはそもそも上履きないし。
まぁ、生活指導の先生に出くわさなきゃ、特に問題ない。
そのまま校内に入る。
壁は明るいクリーム色で統一されているのだが、ペンキがはげて、下のコンクリの色も所々入り交じっている。しょせんはボロ校舎だ。
正面のちょっとしたロビー風の空間には、他にも何人か生徒がたむろしていたが、知り合いはいなかった。
そのまま正面の廊下を進む。
1階には高1の教室が並んでいる。
夏休み明けにある文化祭の準備で、何人かの生徒が、ノコギリやペンキを持って作業をしていた。
木材とシンナーの匂いが鼻をかすめる。
「なんか張り切ってるわね〜。いいなぁ、楽しそうで。青春ってカンジ」
アキがなんだかしみじみとそういった。
「そんな老けた発言すんなよ…。アキの学校はあんま盛り上がんないのか?」
「まぁね」
なんだか歯切れの悪い返事だった。俺がさらにアキに質問を重ねようとしたとき、
「あ、僕は委員会戻んなきゃ。じゃーねー」
中央階段の前で、逸生がのんびりとそう言った。
「そっか、お前抜け出して来てたんだよな。じゃあな、まじめにやれよ〜」
俺の振った手に逸生も応えて振り返し、アキに、じゃあごゆっくり、とほほ笑んだ。
ドラマにも使われたことがあるらしい立派な階段を数段昇りかけて、急に逸生が振り向いた。
「駆人、引き続き監視よろしく。何か面白くなりそうだったらスグにメールして」
「もっちのロン♪」
……さっきからこいつらが黙ってたのは、よくわからんが俺とアキを監視していたかららしい。
なぜだ……わからん。
クスッと例の笑いを浮かべて、今度こそ逸生は会議室に向かっていった。
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