あと2つ位でうちの教室だという時、教室に電気が付いていることに気付いた。
うちの教室は、ちょうど木陰にすっぽりと入る位置にある。2年の教室の中では、唯一直射日光を避けられるとゆー、俺には何とも願ったり叶ったりな部屋。
だから、明かりがついているかどうかも一発で分かるというわけだ。
駆人もそれに気付いたらしく、
「ありょ?誰かいるっぽいね〜」
と俺に言ってきた。
…まいったな、誰だろう。
斉藤とかのグループならまだいいが、もし風紀委員長の仲里(通称お局)だったりしたら………
……私服登校に土足。あの甲高い声で30分は怒鳴りまくるだろう。
俺は二人を教室の手前に待機させ、こっそりとドアに近付いて、恐る恐る中を覗き込んだ。
………あ。
「なんだ、蛍輝か……驚かせんなよ」
教室にいたのは、夏休み直後に転校してきた氷凰蛍輝(ひおうけいき)だった。
どうせ今日も、教科の進度でも確かめにきたんだろう。
この暑い時期にシャツのボタンを一番上まで止めて、汗ひとつかかずに澄ました顔している。こいつは本当にポーカーフェイスだ。
背丈は蛍輝のほうが高くて、180cm位。サラサラの黒髪で、羨ましいことに顔もいいから、さぞかしモテることだろう。
なんでそんな時期に来た転校生を知っているかというと……うーんと……あんまり言いたくないなぁ……。
ともかく、他の奴等はこいつのことを知らないが、俺はある事情から、一足先にオトモダチになったんだ。
「なんだとはなんだ」
蛍輝は、相変わらず愛嬌なくそう答えた。
「いや、仲里だったらやだなと思って」
「…誰だ?」
「あっそーか、まだ知んねぇんだ。風紀委員長で…」
俺が話しているのを見て、安全と踏んだ二人も教室に入ろうとした。
――刹那。
俺は、全身に前後から襲い来る、空気が固まるかのような物凄い圧力を感じた。
それは一瞬のことだったが……確かに感じた。
な、何だったんだ?!
何から今の圧力がきたのか…前後っていっても、蛍輝たち位しかいねぇのに……。



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