「ったく…行っちゃったよアイツ…」
溜め息混じりに中へと戻る。
二人は、今だに距離を置いたまま、互いの行動を監視するかのような気配を見せている。
はぁ、と大袈裟に溜め息をついて、俺は教壇に上り教卓に両手をついた。
「なぁ、今の嘘だろ?本当はなんで睨み合ってたんだ?教えろよ」
嘘をついた二人にムカッときていた。頭の真ん中が熱かった。
二人の顔がよく見える。
二人の腹ん中は全然見えない。
黙っている二人。
何かに堪えるような表情。
二人は同時に口を開いた。
『……秘密』
…ここまできて、そう出たか。
俺は二人の顔をじっと見た。
「どうしても?」
うなづく二人。
「じゃあ、もう、コウサンだ」
俺は両肩をすくめて教壇を降りた。
らしくないことをしたな、と思った。なんだか、はっきりさせないといけない気がしたんだが、どうしてこんなにこだわったのかがサッパリわからない。
誰にだって、聞かれたくない思い出の一つや二つあるだろうに。
急速に冷えていく脳味噌で考えたが、わからなかった。わからないから、もう考えるのはやめた。
「もーいいよ。わりぃ。ちょっとムキになりすぎたゎ。じゃ、今のことはまたの機会にゆっくり話し合うことにして、今はもう、この雰囲気やめようぜ?な?」
二人は、まるで朝食のあの時みたいな、虚を突かれた顔をしていたが、ふっと表情を和ませ、微笑を浮かべた。
そのあと、互いの表情に気付いてしかめっ面になったが、俺が睨むと、ぎこちなく表情を戻した。
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