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…駆人は廊下をヒトシキリ走って中央階段まで来て、はたと、逸生が委員会中であることを思い出した。
「もぉー!この大事な時にっっ!!」
駆人は息を切らせつつも、急いでポケットから携帯電話を取り出し、打ち込むのももどかしい様子で逸生へメールを送った。
『アキちゃんには、幼馴染っぽいキレー系なやつがいる!!マサヒロピンチ!!』
逸生は委員会中に、マサヒロからのメールを受け取った。
「『悪いけど、色々あったから先出る。ゴメンな』…?」
ほぼ同時に届いた駆人からのメール情報も総合して考えれば、結論はおのずと見えてきた。
「マサヒロも大変だねぇ…フフフ……恋敵かぁ…」
委員会中に不穏な空気を漂わせて微笑む逸生に、その場の誰もが薄ら寒さを覚えたが、誰一人としてツッコめなかった。
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さて。
どういうわけだか、俺はせっかく来た道を家へと戻っている。
それもこれも、隣で涼しい顔してるイエデムスメのワガママのせいだ。今も俺の方なんか見向きもせず、前だけ見て…ちょっと死語を使うとすれば、俺のことなんか「アウトオブ眼中」ってやつ。
「……おーい。アキ〜…」
「…ぁ〜い…。」
なんだ、この気の抜けた返事は!!!!
…ったく、ホントこいつ良い根性してやがる。急にほとんど他人の家に転がり込んだ上に、ワガママやりたい放題。
こいつ、じぶんちでも相当甘やかされて育ってるんだろうな…
なんてくだらないことでも考えていないと、暑さで考えがまとまらない。
太陽、もういーかげん勘弁してくれ。俺が悪かった……
足元の熱気立ち上るアスファルトをひたすら見つめながら、そんなことが脳内をぐーるぐると駆け巡っていた。
だが、急にその無限ループは壊された。
「あっ、かっわいい〜!!!」
急にトーンが上がったアキの声に、考え事は一旦ストップされる。
アキの視線の先にあるのは、電信柱の陰に座り込んでいた、雑種っぽい子犬だった。
アキと一緒に子犬に近寄る。1歳かそこらといった感じのその犬――芝犬とかに近いタイプ――は、全身まっくろで、赤い首輪をしていた。リードはついてない。
「きゃ〜!!!どうしたのかしら、この子??」
さっきまでとはうってかわっての、上機嫌で高めの声。
犬ひとつで機嫌が直るのかよ!……とは思ったものの、確かに、この犬はかわいかった。なんだかんだで俺も犬好きだからな〜…。
アキと俺は、お互い遠慮ナシに子犬を撫で回した。子犬のほうも嫌がるそぶりを見せず、むしろすりよってくる。
「人に慣れてるし、首輪もしてるし…どっかの飼い犬かしら?」
「…だろうな。それにしちゃ飼い主がいないけど……まさか捨てられたとか、迷ったとか?」
自分で言っといて、そりゃ大変だと思った。この真夏日まっただ中のアスファルトの上に放置されてたんじゃ、こんな子犬は一発でやられちまう。こいつがいつからここにいたのかは知らないけど、ひとまず水でも飲ませたほうがいいんだろうか。
とりあえず抱き上げてみる。子犬はちょっと慌てたが、キョロキョロと俺の腕の中からの眺めを楽しんでいるようだ。
俺とアキは、どちらともなしに、とりあえず犬を連れて帰ることにした。
子犬は、嬉しそうにキャンとないた。
―――子犬の目が赤く光ったなんて、この強い日差しと目のくらむ反射光の中では、わかるはずもなかった。
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寒さも押し迫ってきたこの時期、どうして私は真夏の描写をしているのでしょうか(笑)。
UPDATE 2005.11.13
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