駆人は、逸生にメールを送った後、とりあえず教室に戻ってみた。
3人がどうなっているのかが、当然気になっていたからだ。

来たときと同様、駆け足で教室へと向かう。
教室には、まだ明かりがついていた。
「おぉ〜いっ☆駆人、ただいま帰還しましたっ!ぱーんーさぁーぁ……??」
気まずいかもしれない教室内のことも考えて、かなりテンションをあげて満面の笑顔で乗り込んだが……。
教室は、既にもぬけの殻だった。
笑顔がまだ少し固まったままだった顔が、徐々に落胆の色をのせていく。
「……ちぇーっ。出てったんなら電気消してけよ……。」
しばらくそのまま立っている駆人。
数秒の後、ふうっ、と息を吐いて、パチリと電気のスイッチを押す。教室は、木陰の薄闇に包まれた。
そして、くるっと教室に背を向けて、何も言わずに廊下を歩き出した。
蝉の声が妙に空虚に、無機質に頭に響く。

廊下に響く蝉の声。
何匹にも重なり、自分の存在を顕示する蝉の声。
自分を見てもらうための蝉の声。
自分だけ置いていかれないように―――……

(……何だかなぁ)
置いていかれたなら、追いつけばいいんだから。
マサヒロ達にメールを送って合流しようと思い、携帯を開いて、マサヒロからのメールに気が付いた。

『悪いけど、色々あったから先出る。ゴメンな』

駆人はちょっとキョトンとして画面を見つめ、軽いため息と共につぶやいた。
「……こりゃ、ヘタに行かないほうがよさそうだなぁー……あははは」
乾いた笑い。
結構本格的に修羅場っぽいなぁ、などと華麗な勘違いをしたまま、駆人は自主練のため体育館へと向かった。




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だんだん駆人が不憫になってくる辺り。
この次はさらにキツい。
UPDATE 2005.12.9

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