その男はひょろっとした長身で街を往く。

真夏でも黒いトレンチコートをはためかせて

真冬でも白いシャツを覗かせて

彼は街を往く。


collector


僕はいま、くたばりかけていた。
ただでさえチビな体を押しつぶすようにして、瓦礫の隙間で夜風をしのいでいた。

ここ何日も、食事らしい食事なんてとっていない。
この廃屋ばかりが並ぶ、忘れられた街に、どうして暖かい暖炉があるだろう?
廃屋の地下には、害虫の群れのように、あまたの人間がひしめきあって、限られた食料で必死に命をつないでいるのは知っていた。
でも、部外者である僕には、当然そのわずかな恩恵すら与えられることはなかった。

同じくくたばりかけの街灯が、灰色の街を、断続的な偽りの暖色で彩ろうとする。

このままここで倒れていれば、24時間後には間違いなく、ただの有機物の塊に成り果てるだろう。
こんなこと、ありえなかった…1ヶ月前であれば。

あの人は僕を裏切った。

それはどうしようもない事実で、未だに信じられなくて、しかし真実であった。
街は灰色。
世の中は白と黒で出来ているのではなく、灰色の濃淡で出来ている。

…いよいよ意識が結べなくなってきた。
まぶたはもう閉じているのだろうか?
手足はまだ繋がっているのだろうか?

…もうどうでもいいか。

僕は自分の意思で、静かに目を閉じた。

ああ、最期にもう一度
もう一度だけでいいから
あの人の書斎で本を読みながら
二人で笑っていたかった…



灰色の街に僅かに白が混じる。
少年がいたところには1つの真っ白なトランク。
その傍らには長身の黒コート。
好き勝手に流れる暗い風に髪を遊ばれながら、彼はそのトランクを無表情に見つめていた。
そして、そのトランクを手にして、すっと持ち上げた。
驚くほど軽いトランクに軽く眼を開く。
しかしまた感情のようなものはかき失せて、彼はそのまま、トランクと共に街の瓦礫を後にした。




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はい、こんなかんじです。どうなんでしょうか。
キノの旅目指して見事撃沈(笑)

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